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-----Lake Tanganyika----------------------------



■生息地とその環境

タンガニイカ湖は200万年以上の歴史を持つ、長さ700km、最大幅80km、最深部1480m、総面積33000平方km(琵琶湖の約50倍の九州ほどの大きさ)のドでかい湖です。深さだけを見ると1480mとバイカル湖につぐ世界第二位の深さを持っています。透明度は約20mとかなり透き通った水のようです。

タンガニイカ湖の水質はその地域に広がっている石灰岩などが湖に露出していることによって、PH(水素イオン濃度のこと。高いほどアルカリ性)、硬度(水に溶け込んでいるマグネシウム・カルシウムなどの塩類の度合=炭酸塩硬度)共に高くなっています。PH8.6〜9.2で、塩分濃度が0.05%を越え、Cl/SO4(塩素と硫酸)、Mg/Ca(マグネシウムとカルシウム)の比率は海水にほぼ等しく、昔には現在の塩分濃度の数倍にも上がった時期もあったようです。

湖の中はその広さゆえに、様々な環境が存在します。岩場や砂場、泥が広がった地帯、貝が密集し転がっている場所、水草が生い茂った地域、など一つの湖にも多様な環境が広がっているようです。


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■シクリッドの棲み分け

タンガニイカ湖には様々な環境が存在するようですが、タンガニイカシクリッドがどのような場所を縄張りとするかを大きく分けていくと、次のようになります。岩場、砂場、岩場と砂場の境、砂泥底、水深約10mの密度の高い巻貝の落ちている場所(1平方メートル当たり700個の貝殻が落ちている場所)、浅瀬の密度の低い巻貝地帯(1平方メートル当たり7〜30個)などです。岩場に縄張りを持つものもいれば、砂地にクレーターを作っているもの、巻貝を隠れ家にするもの、基本的には岩の上を群れを成して泳いでいるものなど、様々なシクリッドがそれぞれの生活を送っています。

岩場は数キロに渡って存在する訳ではなく、一つの岩礁の大きさはせいぜい数メートルで、間に砂地を挟み、少し進むとまた岩場がある、といった感じのようです。また一口に岩礁といっても、こぶし大の大きさやより大きな岩、四角い岩、角が侵食によって丸くなった岩など様々な岩があります。一つの岩に縄張りを持つシクリッドはケイブブルーダーを中心に数多くおり、密度はかなり高くなっています。藻類食のシクリッドは自分の縄張り内の岩の藻を食べ、他の藻類食のシクリッドの侵入は許しません。しかし、藻類食以外(プランクトン食や底生動物食など)のシクリッドが侵入してきた場合は、さほど攻撃しないときもあるようです。


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■産卵形態

タンガニイカシクリッドは、産卵後孵化した稚魚をすぐに自然にゆだねるのではなく、ある程度成長するまで保護する、という特徴を持っています。産卵の方法も様々であり、貝に産卵する種や岩や砂の窪みに産卵する種、口の中で卵を守る種。また、雌雄で世話を見るもの、雌親だけで世話するもの、などです。岩と岩の隙間や影、砂穴を縄張りとし、そこに卵を産み付けることを基質産卵と呼び、巻貝を縄張りとして産卵する種をシェルブルーダーと呼びます。シェルブルーダーも一応基質産卵になります。

シェルブルーダーには2つのタイプがあり、N.オケラ―トゥスやN.ブレヴィスのように、巻貝でないと産卵しないタイプと、N.カウドプンクタートゥスやA.コンプレシケプスなどの、貝があれば貝に産卵、なければ岩場にも産卵することがある、というタイプです。故郷のタンガニイカ湖では厚い殻でできたネオタウマという貝に産むようです。タンガニイカ湖にはこのネオタウマ(死骸ですが)が大量に落ちており、シェルブルーダーが進化してきたそうです。

マウスブルーダーについても少しだけ触れておきます。マウスブルーダーに代表される種としては、キプリクロミス、キフォティラピア、カロクロミス等であり、口の中に卵を含み、孵化した後も守り続けるシクリッドも数多く存在します。


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■歴史と変異

タンガニイカシクリッドでは、同じ種類においても色彩の違いが見られます。これは地域変種と呼ばれるものです。それではな ぜ、タンガニイカシクリッドはそれぞれに特殊化し、進化してきたのでしょうか?これには二つの要因が考えられています。

要因の一つは、それぞれのシクリッドを取り囲む生活環境にあります。岩礁地帯には崩れやすい場所や大きな岩盤が重なった場所、また一枚岩の岸壁など、それぞれちょっとした環境の違いがあります。また隣の岩礁地帯に移動するには、魚食性のシクリッドが泳いでいる砂場を通って行かなければなりません。これにはリスクを伴うため、一つの岩礁地帯に縄張りを持つなどして定着するようになり、他地域に生息する同種間同士の交流がなかったことによって、一つの岩に縄張りを持つ同種間でのみの独自の進化をしたと考えられています。

二つ目は、湖の歴史の長さです。たいてい湖というのは、数万年で土砂に埋め尽くされてなくなりますが、タンガニイカ湖はアフリカン大陸の大地溝帯にあり、現在もなお湖の底は落ち込み続け、アフリカ大陸が東西に裂け続けているため、たいていの湖のように土砂に埋め尽くされることはなかったようです。はるか昔の200万年以上前に形成されて以来、環境にもほとんど変化がなかったため、何百万年と個々のタンガニイカシクリッドの住む環境が安定しているのです。

これらの、環境の長期間に渡っての安定とシクリッドが定着する場所によっての環境の違いがあるからこそ、キプリクロミスで言うと色彩が違う、大きさが違うといった様に、それぞれの地域でゆっくりと適応していく時間が与えられ、特殊化や地域変異が起こったとされています。



[ 参考文献:堀道雄 『シリーズ地球共生系 タンガニイカ湖の魚たち―多様性の謎を探る』 平凡社 1993 ]


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